研究レポート

「私を見つけ出してくれたリスナーと一緒に生きていく」林村ゆかりがトップライバーになるまで

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YouTuberに続く新たな職業として注目を集めているライバー(ライブ配信者)。そんなライバーの名を世間に浸透させたアプリ「17Live(イチナナライブ)」で、伸びやかな歌声と持ち前のサービス精神を武器にトップライバーの座に輝いた林村ゆかりさん。

彼女がライブ配信を始めたのは30歳の頃。当時は年齢を気にして、上手く自分をアピールすることができなかったといいます。そんな林村さんがいかにしてトップライバーの座を掴み取ったのか。これまでを振り返りながら、当時の葛藤やライブ配信に対する想いを聞きました。

「若くもないのに恥ずかしい……」年齢を呪うのをやめ開けた扉

夢を忘れられず、家族の反対を押し切ってひとり東京へ

歌手になる夢を忘れられず、岡山から上京したのが25歳。ずっと家族に反対されていたんです。「芸能界を目指すのは現実的ではない」と。

一度は完全にあきらめて、美容師として実家のサロンを手伝っていた頃もありました。林村家は両親も兄も美容師。夢を手放した場合の選択肢は他に思い付きませんでした。

今振り返ってみるとあきらめていたわけじゃなくて、歌に対する熱い思いを封印していたのだと思います。その気持ちが爆発したのが25歳。世間で“アラサー”といわれる年代に突入して「夢を追いかけるならラストチャンスかもしれない」と、焦りが混じった感情がブワッと湧いてきたんです。

上京後はすぐにステージに立ちたい気持ちが抑えきれず、ジャズバーでアルバイトを始めました。ステージと客席がとても近かったので、お客さまとの会話を楽しみながら、歌うときはしっとりと美しく。魅せるスキルはジャズバーで培われた気がします。

求められているのはそこじゃない。年齢を呪う自分から卒業できたキッカケ

ジャズバーでは歌える楽曲もお客さまの数も限られているので、「より多くの人に林村ゆかりを知ってもらいたい」と、始めたのがYouTubeの“歌ってみた”投稿でした。

ただ、動画をアップしてもすぐに視聴者さんから反応がもらえるわけではないので、一方通行のじれったさを感じたんです。だから、ライブ配信アプリを見つけたときは「これだ!」と思いました。

ライバーデビューしたのは30歳の頃。最初はニコニコ動画の生放送に挑戦して、その後“投げ銭ライブ”ができるアプリ「SHOWROOM(ショールーム)」で配信をスタートしました。自分の歌やトークにリアルタイムで反応が返ってくるのは、想像よりもずっと新鮮で嬉しかった記憶があります。

ですが同時に、自分がリスナーさんにどう映っているのかという不安が募っていきました。

SHOWROOMの配信者さんは、自分よりも断然若い子が多かったんです。そのことを考えるたびに「もう30歳を過ぎているし、若くもないのにこんなことして恥ずかしい」とためらう気持ちが出てくるようになりました。

日々、日々、モヤモヤを感じながらも配信を続けるなかで「ゆかりんの歌声が好き」「もっと色んな曲を歌ってみてほしい」と、あたたかい言葉をかけてくださるリスナーさんのおかげで、だんだん年齢に悩んでいた自分がバカバカしいなと思えてきたんです。

私に求められているのは若さから溢れる魅力ではないんだなと。誰よりも年齢を呪ってコンプレックスに思っていたのは、自分だったんだと気づかされました。

実際に、トップライバーと言われる人気のライブ配信者には、30歳前後の方が多くいらっしゃいます。年齢を重ねると人としての器量が大きくなっていくので、若手のライバーさんとはまた違った魅力を感じてもらえるんだと思います。

前向きに考えられるようになってからは、SHOWROOMのメジャーデビューオーディションにも挑戦しました。残念ながら結果は出せませんでしたが、1年後にレコード会社さんからお声を掛けていただいて。ライブ配信を通して念願の歌手デビューを叶えることができました。

ライバー卒業を考え婚活したことも……「バチェラー出演は本気でした」

年齢に対して思い悩んでいたことが吹っ切れたものの、逆に今度はがんばりすぎて疲弊してしまった時期がありました。

そんなときに、ふと婚活しようかなと思ったんです。昔から結婚願望は強い方だったのと、両親や祖母から顔を合わせるたびに「結婚はまだ?」と急かされていたので。一度、本気の婚活をしようと決意して挑んだのが『バチェラー・ジャパン(※)でした。

(※)『バチェラー・ジャパン』は、Amazonプライム・ビデオにて配信されている恋愛リアリティ婚活サバイバル番組。ハンサムで社会的地位を確立している才色兼備の独身男性(バチェラー)のもとに集まった25名の独身女性たちがバチェラーの心を勝ち取るためにデートをしながら過酷なバトルを繰り広げる。運命の相手となる最後のひとりが決まるまで、回を重ねるごとに減っていくバラを獲得した女性たちが勝ち残っていく。林村さんは、「木村ゆかり」として出演。

撮影現場は、私にとっては過酷な環境でした。昔から女性の嫉妬にあまり耐性がないタイプなんです。誰かがバチェラーとデートに行くたび、他の女性が揃って「悔しさ」をむき出しにしていた状況が異様に感じてしまって……。

常にカメラがあるところで自分をさらけ出していく怖さもありました。本気で向き合ったからこそ、悩む気持ちも日に日に大きくなっていて、バチェラーにいただいたバラをお返しして辞退したんです。

その後、結婚はすっぱりあきらめました。短い期間だったけど、これ以上にないスケールの大きい婚活を経験してみて、お腹いっぱいになった感覚ですかね。家族も、結婚、結婚とうるさく言ってこなくなりました(笑)

プラットフォームを変えるたび新しい家族に出会える。だからライブ配信は面白い

「配信は毎日マイナーチェンジします」リスナーに忘れられないための工夫

結婚をあきらめたと同時に、ライバーとして生きていく覚悟を決めました。心機一転、配信アプリを「17Live(イチナナライブ)」に変更して、再スタートを切ったんです。

人気のライバーになるために、できることはすべてやりました。

ライブ配信って飲食店と同じで、今日観に来てくれた人がもう一度観に来てくれるとは限らないんですよね。料理がおいしくなかったり、接客が悪かったりすると2度と来店しないじゃないですか。ライブ配信も、一見さんにどれだけインパクトを与えられるかが大切なんです。

だから、配信時は通常の3割増のテンションで楽しんでいます。画面越しだと、リアクションも大げさなくらいがちょうどいいんですよ。

「例えばどんな感じですか?」との振りに「ありがと〜〜〜〜〜〜!!」とハイテンションな林村さん。確かにこの反応をもらえた人は嬉しい!

加えて、リスナーさんにはいつも新鮮な気持ちで配信を観て欲しいので、髪型や服装、背景などもこまめに変えています。あとは、リスナーさんが一緒に楽しめるサプライズも必要ですね。オリジナル楽曲の配信やオフラインイベントも実施しています。

努力が実を結んでトップライバーを名乗れたことはもちろん、イチナナライブの企画で、DJ KOOさんとコラボさせていただけことは一生に残る貴重な経験になりました。

「がんばっているところを見せられる人が強い」人気ライバーの素質とは?

長年のライバー活動で得た知識を育成に活かしたいという気持ちから、最近ライバーエージェントを立ち上げました。所属しているライバーさんにアドバイスをするときに、ときどき、昔の自分はどうだったかなって振り返ることがあるんです。

ライバーを始めたばかりの頃の私は、がんばっている姿を人に見せるのがすごく苦手でした。自分のがんばりを他人に押し付けるみたいな感覚で、恥ずかしさもあったんですよね。だけど、それをさらけ出すのが上手な子ほど人気が出るんですよ。

「フォローしてもらいたい」「ギフトが欲しい」とか、ライバーの人気や収益に繋がることって、口に出して言わないとリスナーさんには伝わらないことも多いんです。言わずに後悔するなら、可愛くおねだりして後悔しようという姿勢が大切だなと思います(笑)

ライブ配信でがんばる姿をさらけ出せるようになってから、家族にもライバー活動を応援してもらえるようになりました。それまでは「何がしたいの?」「どこに向かっているの?」と、もどかしい気持ちになることばかり言われていたので、認めてもらえたことはすごく嬉しかったですね。

ライバーとしてやっていく覚悟をリスナーさんに見てもらうために1日7時間くらい配信していたこともありました。いつ観に行っても配信をやっていると、リスナーさんに覚えてもらいやすいんですよね。

「そんなに長く配信して疲れませんか?」と聞かれたこともありますが、会社に勤務されている方は普通に7〜8時間働いていらっしゃいますよね。私はライブ配信がお仕事なので、その感覚と何ら変わりはないんです。

「普通にお中元も送ります。だってリスナーさんは家族だから」

ライバーを始めて7年目になりますが、ずっと同じアプリで配信を続けていると、どうしても常連さんが飽きてしまうことがあります。だから時には思い切って、プラットホームを変える勇気も必要なんです。

今はイチナナライブを卒業して、世界25カ国で利用できる「BIGO LIVE(ビゴライブ)」というアプリでライブ配信をやっています。

私は今まで3つの配信アプリを渡り歩いていますが、その度に常連さんが付いてきてくれるので感謝しかありません。今年でもう7年のお付き合いになるリスナーさんもいます。

綺麗事ではなく、毎日のようにコミュニケーションをとっていると、本当に家族のような存在に思えてくるんです。日頃の感謝の気持ちを込めて、お中元の時期には実家がある岡山の桃やぶどうを贈ることもあります(笑)

ライブ配信をやっていなかったら、きっと今でも夢をあきらめたことを後悔したままだった。リスナーさんが見つけてくれたから、今の私がいます。だから原点であるライバーはずっと現役でいたい。これから歩む道も、家族(リスナー)と一緒に進んでいきたいです。

林村ゆかり(はやしむらゆかり):ライブ配信者。歌手。ライバーエージェント「purple industry」代表。2018年10月には「17Live(イチナナライブ」にて、日本一のフォロワー数を記録。2017年2月にリアリティー番組『バチェラ・ジャパン』に出演。美容家・YouTuberとしての一面も持つ。

編集後記

取材中、「どんな人になりたいですか?」という質問に「忘れ物をしない自分になりたい(笑)」と、サービストークを展開してくれた林村さん。

こういった小さな気配りが会話の随所に感じられて、さすがトップライバーさんだなと感激した取材陣でした。

しっかり者に見える林村さんですが、実は忘れ物は頻繁にするタイプなのだそう。MAMORIOのオフィスにお越しいただいた記念に、新しく登場した第3世代の「MAMORIO」のピンクをプレゼントしました! コンパクトなサイズ感に加え、落ち着いたピンクカラーで大人の女性も持ちやすいデザインです。

林村さんが運営するライバーエージェント「purple industry」では、現在ライバーを絶賛募集中。「愛嬌」「鉄のハート」「努力が感じられる清潔感のある外見」の3つの条件が、人気ライバーになれる素質とのこと。自信がある方はぜひ応募を検討してみては。

https://twitter.com/yukarice0/status/1175003810546106368

林村ゆかりさんのBIGO LIVEでのライブ配信情報も、Twitterで随時更新中。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。

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